蓬莱人形

従来どおり適当な雑考ですので、肩肘張らずにどうぞ。


最近まともに永夜抄をプレイできていなかったので、リハビリもかねてExtraのリプレイを通しで見ることに。
妹紅の(ラストスペルを除く)最終スペルであるこの弾幕を眺めていた時の事。
紅と蒼の自機狙い弾が、画面外周部を周回する使い魔から放出されますよね。
一番楽な避け方は画面中央でコンパクトに時計回りに周回する事ですが、
その時に紅と蒼の丸弾が描く弾列と軌跡をボーっと眺めて見ると
綺麗な二重螺旋構造を取っているではないですか。
自機狙い弾なので、回避コースの乱れとともにそのらせんは乱れるわけですが、
少なくとも開幕は綺麗な螺旋を描くことが出来るはずです。
この映像を眺めていてふと思ったことが、今日の雑考ネタそのものです。


もしかしてこれはDNAの二重螺旋構造を思索しているのではないでしょうか?


生体の遺伝情報をつかさどる染色体(細胞の一部と考えて良いでしょう)を構成する要素がDNAです。
そのDNAの立体構造が二重螺旋であることは、どこかで聞いた事があるでしょう。
ヒトがヒトであり続けるために、細胞分裂のたびにDNAは複製されていたりするのです。
そして複製過程でエラーが生じ、遺伝情報の変質というものが起こったりもするわけです。


さて、この弾幕では回避を続ける事によって徐々にその形状が乱れていきますね。
螺旋構造が乱れる原因は、紛れもなくプレイヤーにあるわけです。
その回避運動が一定ではないからこそ、弾幕に乱れが生じ、崩れていくわけです。


弾幕において螺旋構造が乱れる、ということとDNAの複製過程のエラーを照らし合わせて考えてみると、
そこに人間そのものから徐々に逸脱していくイメージが想起されてなりません。
ヒトを止める、寧ろヒトではなくなるというわけです。
妹紅が死というものから逸脱していった元生身の人間(現在は蓬莱人)である事と
見事に符合するわけです。


ここで、第三回人気投票においてzunさんが妹紅に対して寄せたコメントを読んでみると、
そこにはDNAという単語が登場します。
DNAは「人間であるという想い」の次に、人間が人間であるための条件であるとしています。
そこで人間ではないものと考えられる蓬莱人形の弾幕に、人間である事の符号を混ぜ
それが乱れ消し飛ぶ様をイメージさせる事で、蓬莱の人の形という妹紅を表現しているのではないでしょうか。


そしてココには更なる意味が隠されていると思います。
蓬莱人形という弾幕においては、時計回りに周回する事に徹すれば、基本的に回避可能ですね。
(そこで、一様な回転を躊躇させるような全方位弾、自機狙い楔弾が来るわけで、それに捉われると命を刈り取られるわけですが)
そう、この弾幕を回避し続ける事によって、プレイヤーは時計回りに周回するという
単一の作業を繰り返す人形と化していくわけです。
そこに人間の気まぐれ、意思などが介入する事もなく、作業をただただ反復するだけの妖怪(人形)と化すわけです。




東方三部作、永遠の夜の肝試し、勝つのは人か蓬莱人形(マシーン)か



余談:身近にある紅と蒼の二重螺旋といえば、床屋の看板でおなじみの三色捻り棒(赤は動脈、青は静脈、白は包帯を表している)もありますね
動脈、静脈……これも人間であるには必須な要素だったりもしますが